鍼はどこで生まれたの?
もともと鍼治療は古代中国で発祥しました。
始めは素朴に、痛いところに針のような先の尖ったもので皮膚を刺激したところ、痛みが楽になったところから始まったのでしょう。
そしていろいろなツボが発見され、痛み以外にも様々な病気に効果がある事が分かってきました。
そして大自然の中で生きる古代人の優れた感性の中から「気」や「経絡」の考えが生まれて、だんだん理論化されていき、長い年月をかけて漢方薬や養生法、鍼灸を含めた東洋医学が確立されてゆきました。
日本における鍼治療
文献によると5世紀に入って新羅や百済(今の韓国)から医師が来日して大陸の医学を伝えたそうです。
8世紀には当時の隋や唐の国家制度を参考に「大宝律令」や「養老律令」が制定され、その中の宮内省の中に針博士、針生という職制が定められていました。
その後、鍼灸治療は漢方薬とともに日本の医療の一翼を担ってゆきます。
日本での鍼治療の発展
江戸時代に日本独特の技術である管針法や打針法が考え出され、いろいろな流派が生まれます。
また診断法ではお腹で全身の状態を把握する「腹診」も重要視されました。
将軍の侍医を務めた有名な”杉山和一”という鍼灸師もいました。
日本の鍼治療の危機
明治時代に入り、政府の富国強兵の政策のもと急速に西洋化が推し進められ、医療の世界でも従来の漢方、鍼灸医学は否定され、西洋医学が医療の主流となりました。
しかし、漢方医の漢方存続運動や盲人職業保護の運動もあり鍼灸治療のための営業許可も法制化されてゆきました。
日本の鍼治療の科学的研究
明治以降、医師たちの間で古典を基にした伝統的な鍼灸治療を否定し、西洋医学的な観点からツボや鍼刺激の生体に及ぼす研究が盛んに行われるようになりました。
経絡治療など新たな鍼治療の誕生
一方で東洋の古典に基づく鍼灸を研究実践する動きも興りました。
昭和の初期の頃、一人のある鍼灸臨床家であり研究家による「古典に還れ」という提唱がきっかけとなり、そこに集まった漢方・東洋医学をベースとした臨床家達によって『経絡治療』と言われる鍼のスタイルの原型が生れました。
そして『経絡治療』も鍼の技術や使う鍼の種類によって幾つかのグループに分かれて行きます。
ちなみ現代の日本では伝統派、中医学派、科学派、折衷派など様々な鍼灸のスタイルを存在し、それぞれ現代医療を補う形で人々の健康に貢献しています。
また最近は美容やスポーツ医学の分野でも鍼灸が用いられるようになりマスコミの取り上げられるようになってきました。