進化する鍼灸治療
日本では鍼灸治療というと肩こりや関節痛、腰痛など痛みの治療が一般的でした。
しかし昨今では現代医療を補完する東洋医学の一分野として、マスコミに取り上げられるようになりました。
またスポーツの分野でアスリートのパフォーマンス向上に鍼が使われたり、顔面に鍼をする“美容鍼”が広く知られる様になりました。
古来から伝わる鍼治療は現代においてもさまざま方面で利用されています。
古くて新しい鍼灸治療
東洋医学では人間は自然の一部であるという考え方が根底にあります。
日本、韓国、中国では、古来より伝わる鍼灸治療は時代に合わせてアップデートしながら、現代まで人々の支持を得て代々受け継がれてきました。
それは、鍼灸、漢方を含めた伝統医療には、病気と健康に関する今も変わらない普遍的な生命力(エネルギー)の法則があるからです。その一つは「未病を治す」という考え方です。
「予防医学」としての鍼灸治療
「未病」とは病気に向かっている段階で病気では無いけど、健康的でもない体の状態です。
つらい症状を伴うあらゆる病気には、その前のステージで、身体や心にアラートが点滅されます。それにいち早く気づいて対処する事で病気になるのを防ぐ事が大切です。大火事になる前にボヤのうちに消火するというイメージですね。
また東洋医学では、「未病」の時はからだの生命エネルギーは低下していると考えます。この時に鍼治療をすることで、生命エネルギーが高まり、体は健康な状態に戻ります。
昨今、政府予算における国民健康医療費の高騰が問題となっており、「予防医学」というキーワードがよく言われようになりましたが、まさに「予防医学」とは「未病を治す」という事ですね。
そして鍼灸治療は、現代における予防医学としての効果を発揮する医療と言えます。
『経絡治療』と呼ばれる鍼灸治療とは?
『経絡』とは東洋医学の古典に出てくる言葉で、生命エネルギーである気の流れるルートのことをいいます。
経絡治療は、漢方・東洋医学の「陰陽・五行論」の理論を基に、それを現代に合わせてアップデートさせた、『古くて新しい鍼灸治療』です。
気のめぐりを促し、経絡のアンバランスを調整して生命力を高める『本治法』と症状に対して行う『標治法』の二本立てになっているのが特徴です。
診断には、手首に現れる脈の強さやスピード、当てた各指に触れる強弱の違いなどを読み取る「脈診」に重きを置いていて、他にも「腹診」や「経絡触診」など体に現れる情報と病歴、生活習慣などを聞く「問診」を総合的に考察して、どの経絡に異常がみられるかを導き出します。
「経絡治療」の強みは、本治法を行う事で生命力を強化する事ができ、標治法によって、症状をコントロールすることで痛みや不調が改善するという二本立てになっているところにあります。
和の波 鍼灸スタジオでは、数ある「経絡治療」を教えるグループの中でも、繊細で高度な鍼の技術を伝える「東洋はり医学会」
に所属しており、毎月2回の会の集まりに参加して治療技術の向上に努めています。
※東洋はり医学 渋谷支部では鍼灸師、鍼灸学生の聴講生を募集しています。